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生活のセイフティーネットを再構築する長期計画を「安全ネット日本計画」として作成し、これに基づき、出産・子育ての補助金拡大、学費の無償化、年金・介護・医療・雇用の保険制度改革、医療・介護・保育・教育の人員と施設の拡充などの長期計画のうち、可処分所得増加や国民負担軽減につながる部分を繰り上げ実施し、内需刺激の景気対策とすべきである。
長期の計画と短期の景気対策が逆方向を向いていたり、景気対策が長期計画と無関係の一時的施策であったりするのは、最も非効率で効果の薄い財政資金の使い方である。
景気対策として定額給付金を一時的に交付し、長期的な財政再建築として二年後に消費税率を引き上げると公言するのは、その典型的な例である。
消費税は社会保障税として目的税化し、基礎年金や高齢者の介護、医療の財源に使うのが望ましいが、これを含めた租税と社会保険料の一体的改革の長期計画を立て、減税など内需刺激効果のある改革を先行実施し、景気対策とすべきである。
財政は緊縮から中立へ 日本では、財政支出を拡大すると、長期金利の上昇(クラウディングーアウト論)や将来の増税を予想した貯蓄増加(マクロ合理的期待仮説)が起きるので、総需要拡大の効果はないと主張する人が多いが、これは問違っている。
大幅な貯蓄超過で低成長に陥り巨額の対外黒字を持つ日本では、財政資金の調達と民間の資金需要が競合してクラウディングーアウトを起こし、金利が上昇するようなことは起きない。
もし民間の資金需要が強まって金利が上昇するようなことがあれば、内需が立ち直ってきた証拠であるから、長期計画(「スーパーエコ日本計画」、「安全ネット日本計画」、税制・社会保障一体改革)の中で、支出拡大や国民負担軽減につながる部分のテンポを落とせばよい。
財政支出が増えれば国民が将来の増税を予測して所得増加を全部貯蓄に回すと言うのも、机上の空論である。
だいたい四重苦に悩む国民生活に、そのような余裕はない。
また、財政支出や減税の乗数効果が小さいので、需要喚起策としての有効性が低いという議論がある。
企業が「三つの過剰」解消に努めていた九八〜○四年には、一時的に乗数効果が下がった。
収益が債務返済、土地の損切り売り、設備の廃棄などの「後向き」資金に使われ、「前向き」の設備や雇用の拡大に向かわなくなったからである。
現在はあの頃のような「三つの過剰」はない。
乗数効果は上がっているはずである。
「スーパーエコ日本計画」は、民間では十分に行えない環境・エネルギー投資に財政支出を振り向け、民間投資と競合せずに、むしろ補完的に民間投資を引き出す効果がある。
「安全ネット日本計画」も、国民に将来への安心感と明るい期待を与え、消費性向を高める効果がある。
いずれも乗数効果は高く、同じ財政支出の拡大でも、単純なケインズ政策とは違うのである。
新政権は「小さな政府」を目指して、「財政緊縮」のスタンスを採るべきではない。
民間の経済活動への過剰介入をやめ、民業圧迫の官業とそこへの補助金を廃止し、また中央省庁が作った中期計画に基づく事業補助金で地方自治体の支出をコントロールする仕組みをやめれば、各省庁でかなりの組織と人員が要らなくなり、その面で「小さな政府」になる。
しかし、広義の環境対策(例えば「スーパーエコ日本計画」)やセイフティーネットの強化(例えば「安全ネット日本計画」)を実施すれば、その面では「大きな政府」になる。
両者合わせて、財政は「緊縮」ではなく「中立」(財政赤字〈フロー〉は横這い、政府債務残高〈ストック〉対GDP比率は徐々に低下)になるのが望ましい。
日本の政府債務残高対GDP比率は、先進国の中で一番高いし、K・A政権の下で圧縮した財政赤字は、F・A政権の下で再び拡大している。
しかし、そうだからと言って、「財政再建は待ったなしの最優先課題」と考えるのは間違っている。
そう考えて九七年度の超緊縮予算を実行したH内閣は、日本経済を痛めつけ、逆に財政赤字を今日の姿まで大きくしてしまった。
同じ考えで「財政緊縮、金融超緩和」のポリシー・ミックスを採ったK政権は、内需停滞と格差拡大を作り出し、日本経済を極端に輸出に偏った体質にして、今回の世界同時不況に翻弄されている。
○五〜○七年度に縮小した財政赤字は、不況下の○八〜○九年度に再拡大し、H内閣が作った最高記録を更新している。
日本の財政赤字は、外国によってファイナンスされている訳ではない。
日本国民の貯蓄によってファイナンスされている。
日本国民は政府を介して、お互いに貸し借りしているのである。
そればかりではなく、日本国民は、自分の国の財政赤字を全額ファイナンスした上、更に米国の財政赤字まで、一部ファイナンスしている。
従って、日本の財政が破綻するようなことはない。
財政赤字を海外からの資金でファイナンスしているラテンーアメリカ諸国や米国とは違うのだ。
しかし、政府債務の対GDP比率があまり高くなると、政府予算の対GDP比率はあまり変わらないので、政府債務の利払いと、既発国債の借換えに伴う償還費を計上する国債費のウェイトが政府の歳出予算の中で高まり、政策経費のウェイトが下がってくる。
これは、政府の政策の自由度を奪うので、好ましくない。
やはり、政府債務残高の対GDP比率は、長期的に引き下げて行った方がよい。
そのためには、国債費を除いた歳出と、国債発行収入を除いた歳入のバランス、つまり「基礎的収支」を黒字にすればよい。
この目標を長期的に持つことは大切であるが、財政の基礎的収支は、景気循環に伴う租税収入の循環変動で大きく変動するので、景気を無視して短期的に基礎的収支を黒字にしようとするのはよくない。
H内閣のように経済を痛めつけ、逆に赤字を拡大してしまう。
基礎的収支黒字化は長期の目標とし、目先は租税収入が回復するように内需の立て直しを最優先にすべきである。
「財政緊縮、超低金利」から「財政中立、正常金利」へ 財政を「緊縮」から「中立」に切り換え、環境対策とセイフティーネット強化策で内需が立ち直り、景気が上昇してくれば、金融政策も臨時異例の信用緩和政策(credit easing policy)から流動性をコントロールする伝統的な金融政策に戻り、過剰に供給していた流動性を吸収して金利水準を「超低金利」から「正常金利」に引き上げることが出来る(「出口政策」の重要性)。
円レートは、それによって円高方向の圧力を受けるであろう。
こうして国民生活を長い間苦しめてきた超低金利、円安、輸入物価上昇、雇用不安の四重苦から抜け出すことが出来る。
「財政緊縮、超低金利」から「財政中立、正常金利」ヘポリシー・ミックスを切り換えることによって、内需主導の経済成長が実現した時、「ものづくり立国」の主役である日本の製造業は、輸出の役割を含め、どのような位置付けになるのか。
金利水準が正常化するので、再び円安バブルは起こらない。
経常収支の赤字を拡大しながら世界経済の拡大を引っ張る米国という機関車はいない。
○一〜○七年の景気上昇期とは、経済環境が異なる。
日本経済は、商品・サービスの輸出と商品・サービスの輸入がほぼ均衡し、貿易・サービス収支が長期的にはゼロ近傍にいた方がよい。
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